単(ひとえ)・2 ー帰ってきた晴明ー
「博雅…。」
どんどん明るさを増してゆく月を、左足を立てひざにしてその膝の上に左手をひじ突いてぼうっと眺めていた博雅、不意に背後から抱きすくめられて飛び上がるほど驚いた。
「せ、晴明!?今日は帰らないはずではなかったのか?」
びっくりして振り向くと目の前に、小さく笑みをのせた晴明の冴えた美貌があった。たった1日離れていただけなのにその顔を見ただけで博雅の心拍数がどんと上がった。晴明の冷たく滑らかな頬が博雅の赤くなり熱を持った頬に摺り寄せられる、頬の辺りに晴明の冷たい唇が触れてそっとささやかれた。
「式が知らせてきたのだ。今日、朱呑童子がお前を訪ねてきたと。…だから心配で帰ってきた。」
「えっ!?たったそれだけの理由でか?仕事はいいのか?」
そんな理由ではるばる帰ってくるとは。
「仕事など本当はやめたいといつも言っているだろう。あれはお前が言うから仕方なくやってることだ。それよりやつがお前の周りをうろうろしているという事のほうがよっぽど心配だからな。」
「ばか、なに言ってるんだ、俺は子供じゃないぞ。」
頬についばむような晴明のくちづけが降ってくる、それから一生懸命に気をそらせて博雅は言った、こんなことくらいで仕事をないがしろにする晴明に少しばかり腹を立てた…かなりうれしかったのも本当だが。
「だから、なお心配なんだ。おまえが子供ならまだあれも手を出そうなどとは考えぬだろうが、こうも食欲そそるようだと…。」
そう言うと、博雅の乱れたすそからすらりと伸びた左足に背後から手を這わす。あらわになった腿を晴明の手が撫でるように滑り落ちてゆく。
「…あ、こら、何を急に…」
「お前のことだ、どうせ着物の時は下は穿いてないんだろ?」
「なんで、それを知って…あっ!」
晴明の手がするりと上がって博雅の股間に差し込まれた。
「こんな薄物一枚で…無防備すぎるのだ。おまえは。」
冷たい指が博雅のものに絡みつき下から上へとなで上げた。
その手の動きを止めたいのに博雅の両手はしっかりと晴明の右手に押さえ込まれていて動けない。博雅の頬から晴明の唇はそのまま流れるような動きで博雅の耳に移ってゆき、その柔らかな耳朶を甘噛みした。耳の中に晴明の熱い吐息を感じて思わず博雅の目がうっとりと閉じらてゆく、唇が小さく開き、震える吐息が吐き出された。
博雅の手を押さえていた晴明の右手が単の袷を割って中へと滑り込む、胸をじわじわと這う晴明の指先はすぐに目的のものを見つけた。少し硬くなり始めた博雅の小さな突起。ぷくっと膨らんだそれを晴明の人差し指と中指がそっと間み、指先に力を入れてきゅっと摘む。
「…!」
博雅が胸を突き出すようにして軽く仰け反った。その反応のよさに思わず晴明の唇に笑みがこぼれる。
「寂しかったか?」
「…べ、別に。」
胸の辺りがじんじんと熱くなるのを感じながらも、博雅は強がって言った。
「うそつきだな、博雅は。」
晴明が笑っているのが頬に感じられた。
「う、うそなどついてない!き、今日は忙しかったし…、い、今だって一人で葉二を吹いて、け、結構楽しんでたっ!」
「ククッ、うそつけ。だって博雅のここは…ほら、正直だ、こんなになって。まるで寂しかったと言ってるように涙を流しているではないか。」
晴明の手が博雅の中心にあるものを、さらにきゅっと握りこんだ。博雅の鈴口から先走りの露があふれ出して、その頂点にまるで涙の粒が盛り上がるように丸く留まっているのが肌蹴られた裾を割って見えた。
「…う!」
博雅の体がさらに仰け反る。胸を離れた晴明の右手が博雅の足に降りてきて、博雅のもう片方の腿をぐいっと広げた。大きく肌蹴られた単のすそを割って博雅の晴明に握られたものがあらわになる。今夜のとても明るい月の光が先走りの露に濡れた博雅のものをつややかに光らせていた。無防備に夜気に下半身をさらされて博雅が羞恥に身をよじった。
「…せ、晴明!やめろ…!」
「いやだ。お前のここも俺と同じ気持ちのようだぞ。ほら、どんどん大きく硬くなってゆく、わかるだろ?」
「…ああっ…。」
晴明の手が博雅のものをゆっくりと愛撫する、晴明の言ったとおりそれは博雅の意に反して固く張り詰めていた。露がその先からあふれて流れ出し晴明の手を濡らしていた。右の腿を抑えていた晴明の手が上がって博雅の右手を迎えに行く、力の抜け始めたその手を博雅自身へと導く。
「ほら、自分で触れてみるといい、ここはこんなに正直だ…。」
博雅の強張る指を一本一本ほぐすようにしながら博雅自身に絡ませる、晴明は自身の露に濡れたものをしっかりと博雅に握らせると手を添えて上下に扱かせた。
「ああ…」
自身の手と晴明の導きによって散々に嬲られて博雅が言葉少なになってゆく。
晴明の左手が博雅の会陰を伝って奥の秘められた場所へと進んでゆく。やがてたどり着いたその蕾はその先を予感しているのかひくひくと小さく震えていた。
「ここも俺を待っていたか…。」
満足げにその紅い唇に笑みを浮かべて晴明は言った。
つぷり。
晴明の長い指が博雅の震える蕾に潜り込む。博雅の体がびくっとわずかに跳ねた。だが体は晴明に抱きこまれていて自由にならない。自身を愛撫する手も晴明は止めさせてくれない。晴明の指がどんどんと博雅の体の奥へと進んでゆく。
「…あっ…やめろ…」
博雅が固くまぶたを閉じて言った。額にうっすらと汗が滲む。
「もちろんやめないさ…安心しろ博雅。」
妖艶な笑みを見せて晴明が答えた。
博雅の中を晴明の指が自由に蠢く、濡れ縁にうつぶせの体勢で晴明に押さえつけられた博雅、体の中心を散々になぶられて体をがくがくと震わせるばかりだ。すでに一度放たれたそれが再び立ち上がって博雅自身の腹を打つ。力が抜けて自分の体を支えきれずに博雅の上半身がぐったりと前のめりに倒れこんだ。
「だめだぞ、博雅。まだ、これからではないか。」
後孔に指を潜り込ませたまま晴明が博雅の耳元に口を寄せて言った。
「…もう…だめ…だって…あっ…」
苦しげに博雅が言う。その目にじわりと涙が浮かんでいる。
「まったく、しょうがないな…。」
全身にうっすらと汗をかいた博雅をぐいっと引き起こす晴明。胡坐を掻いた晴明の股間にそそり立つ雄の印、博雅の体を自分の方へと向けてその上に跨らせる。指を抜き、代わりに自身の雄を博雅の緩んで熱く潤った後ろの蕾にあてがう。
「まだもう少し、熱くなったお前を見ていたかったのに。辛抱のないやつだ…。」
言いながら博雅の体を引きおろした。晴明の猛る雄の印が博雅の燃えるように熱いその中へとねじ込まれてゆく。博雅の口から悲鳴のように声が上がった。
「こんなことするために帰ってのか…ばか。」
晴明の腕の中で博雅が言った。ぐったりと力の抜け切った博雅を抱え込んで至極ご満悦な晴明、ふふんと笑って答えた。
「こんなことが俺にとっては一番大切なことなのさ、博雅。」
「ほんとに…ばかなやつ…」
博雅はにっこりと笑うと晴明の顔を引き寄せて、まだ笑みをのせたままの晴明の紅い唇に自らの唇を寄せた。
こんなのばっかり…、すいません(汗)
ちょいやば